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エンタメ

震災テーマの演劇「散乱マリン」/11月19日広島公演

京都の演劇ユニット「下鴨車窓」が広島で公演
震災テーマの「散乱マリン」 11月19日に

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 京都の演劇ユニット下鴨車窓の作品で、東日本大震災がテーマの現代演劇「散乱マリン」が11月19日、JMSアステールプラザ(広島市中区)で上演される。3月に上演予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で上演が延期になっていた。
 舞台の設定は、撤去自転車を保管する敷地内の「広漠な野原」。なぜか解体された自転車の部品が散らばっている。大切にしていた自転車を引き取りに訪れた女性はショックを受け、部品を集めて元通りにしようとする。一方、現代美術家のグループも現れ、自転車の部品を陳列して作品に仕立てようとする。まるで目的が異なる2者の対立を軸に、物語は予想外の方向へ展開していく。

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 作品に登場する野原や自転車の部品は一見、震災とは無関係に思える。下鴨車窓の主宰者で、脚本・演出を担当した田辺剛さんは「もちろん隠喩です。それらは何の置き換えなのかを想像しながら見てほしい。震災だけでなく、コロナ禍の今の状況と重ねながら作品を味わうお客さんがいるかもしれませんね」と話す。

対立や分断 どう克服
 「散乱マリン」は2014年に東京で初演された。「発生から数年たっても行方不明者を捜し続ける家族がいるのに、報道が減っていくと震災自体がなかったかのように錯覚してしまう」という田辺さんの危機感から生まれた作品だった。ブラッシュアップし、今年初めから春にかけて広島など3都市での再演ツアーを計画していたが、新型コロナでツアーの延期を余儀なくされた。
 新型コロナに翻弄(ほんろう)される今の社会について、田辺さんは「震災の時よりも、意見の対立や分断の激しさが増している」と見る。「災害や感染症の広がりのように、平穏を奪われた中で生まれる意見の対立をどう乗り越えればいいのかを、作品を通じて観客の皆さんと一緒に考えたい」
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「物語」の魅力考え続ける
 田辺さんは、哲学の研究者を目指して進んだ京都大大学院を中退して演劇の道へ。現代演劇を創作・公演する下鴨車窓を04年に結成し、精力的に作品を発表。国内だけでなく香港などアジアを中心とした海外でも公演を重ねてきた。
 「物語」が持つ魅力や役目への関心は、震災の頃からさらに強くなった。「人の人生そのものが物語だと思えます。そういう意味では、災害のような圧倒的な力で物語を奪われた人は、その後どう生きていけばいいのか。どんな物語だったら代わりになり、支えになるのか。そのようなことを考え続ける作業こそが、僕にとって演劇という表現なのでしょう」


<散乱マリン>

脚本・演出 田辺剛
出演/西村貴治、福井菜月、澤村喜一郎ほか。
上演/11月19日14時、19時の計2回。
チケット料金/一般2500円、ユース(25歳以下)1800円、ペアチケット4300円(14時の回はそれぞれ500円引き)。
問い合わせ/050-3709-9538

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田辺剛さん
※プロフィル
たなべ・つよし 1975年福岡市出身。京都大在学中から演劇を始める。2004年に演劇ユニット「下鴨車窓」を立ち上げ、国内外で作品を上演。05年に日本劇作家協会新人戯曲賞、07年にOMS戯曲賞佳作受賞。


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